劇団『彗』第3回公演
日本怪談興行株式会社
作・演出:高橋工房2001年10月13日・14日 御浪町ホール
■STORY派遣社員の吉村は、『日本怪談興業株式会社』と言うイベント企画会社にやってきた。物理博士でプラズマの研究家やアスリート、メイクアップアーティストに国際派女優など、類稀なる才能の持ち主達が集まった凄腕イベント会社だったのだ! …とは言え、遊んでいるのかと思うような仕事ぶりに、吉村もどうしていいのか解からない。 ただ漠然と社会の一員となった彼にとって、才能溢れる先輩社員達が、どうして熱心に仕事をできるのか解からないでいた。 25歳。 社会人として、男として、“これから”を意識し始めた吉村は、恋人の和美に対しても自分の気持ちをはっきりさせるつもりでいた。 文字通り『怪談』を得意とするこの会社のイベントの企画立案を任された吉村は、“空飛ぶオバケ(鳥人伝説)”実演のために、できもしないハンググライダーでの滑空をさせられる事に! たかが山奥の農村のイベントごときに、命を張ってまでオバケにならなきゃいけないのか? 悩む吉村を、恋人の和美は、社会人として、男として、責任感が欠けていると危惧していた。結婚と言う大目標を意識させ成就するために、恋人の和美が取った方法は、なんと…!!! 「とりあえず頑張る!」 今、目の前にある目標に向かってがむしゃらに頑張る事は、決して恥ずかしい事でも無駄なことでもない。 吉村の決意で鳥人伝説の再現は成されるのか? ■COMMENT「お前、がんばれよ」と上司に発破をかけられたものの、「何を頑張ったらいいのか解からない」「どう頑張ればいいのか解からない」と、上司には聞けない質問を頭の中で繰り返していた20代前半。作者の高橋靖明は、その時まさに直面している問題に対して、自分なりの答えを導き出そうとしていた。 むしろ、もう出ていた答え「とりあえず頑張る」に自信を持とうとしていたのかも知れない。 演出はもちろん高橋利明。 偶然にも作者・演出ともに姓が高橋だったため、その二つを共同作業する意味合いを込めて「高橋工房」を名乗った劇団唯一の作品。 実際、脚本執筆も演出も二人での共同作業となっていたのだが、難産の末の舞台となった。 「悩める20代の若人の視線の先に見えていたものは、今日を生き抜く自分の姿だったんだろう」 …詩人でも何でもない私が、必死に悩み、がむしゃらに頑張る彼の姿を見て、素直にそう思った。 ←一覧に戻る |