劇団『彗』第13回公演
夢だっていいじゃない

作:伊藤貴晴 演出:澤田公宏

2010年2月27日、28日
北方町生涯学習センターきらりホール
「きたがた演劇フェスタ」参加




―誕生日の前日はいつも不思議な夢を見る― 





【CAST】 【STAFF】
少女 アリス 森島友貴
黒子1 クロ 丹羽一高 助演出 高橋利明
黒子2 シロ 野原康寛 伊藤貴晴
黒子3 アカ 棚橋直矢 照明 恩田祐也
黒子4 アオ 金武智徳 吉田真子
黒子5 キー 岸野友香 音響 林未貴
黒子6 ティンカーベル 澤田公宏 舞台美術  堤敏之
黒子7 フック船長 大橋裕幸 鶏小屋工房
衣装・小道具  小森綾乃
いとうゆい
鶏小屋工房
制作 丹羽一高


■STORY

16歳の女の子、アリス。
彼女は誕生日の前日に、いつも不思議な夢を見る。
夢の中でアリスは、個性豊な黒子達と一緒におとぎ話の主人公になって遊ぶのだ。

そして今年。
17歳の誕生日の前日、アリスは夢の中で黒子達と逢う夢を見るのだった…。

黒子達は、アリスの17歳の誕生日のお祝いを考える。
「17歳の誕生日は特別なのだから。」

夢見る少女から卒業する日が17歳の誕生日だったのだ。


黒子達は“不思議の国のアリス”の物語になぞらえてお茶会の準備を始めたが...
「桃太郎も!」、「シンデレラも!」、「花咲か爺さんも!」と、お話はとめどもなく膨らんでしまう。
アリスも全部やってしまいましょうとノリ気。

アリスの結婚相手の王子様を探しに、お供を従えて鬼が島へ舞踏会に行く話になってしまう。

アリスの王子様になりたい黒子達は、他の黒子をやっつけようと争いを始める。
鬼の役だった黒子はやっつけられるはずなのに、アリスは鬼に助けを求めて...

アリスが恋い焦がれる王子様の座は誰の手に!


黒子達が起こすドタバタの中、恋する乙女の複雑な心模様を描く劇団『彗』初のラブコメディー!


■COMMENT

彗での脚本家デビューとなった伊藤貴晴の世界観は、豊富なボキャブラリーを駆使して、実にふんわりと描かれていた。
演出を引き受けたものの、10代女性の複雑な心模様やキュンとする甘酸っぱさを、オッサンと呼ばれて久しい澤田に理解できるのか不安なままのスタートとなったを覚えている。

それでも、ただのラブコメにできないのが彗だと思ってやった。
脚本が持っている世界観を壊さずに、彗テイストにしようとした。

これを実現させるためにどうしても必要だったのが、黒子達を演じた役者のパワーだった。
熱した鉄板に落とした水のように、弾け飛んでバチバチするようなエネルギー。
この作品で彗の舞台にデビューした棚橋は、役柄としてもその中核を担わなくてはならなかった。
稽古では新人の棚橋を散々に苛め抜いた。
期待に応えた棚橋は、印象深い黒子になれた。舞台上でバチバチと弾ける棚橋や他の出演者を見て、演出として物凄く嬉しかった。

他にも印象に残っているのは、公演後の観客からのコメント。
知人には「澤田の衣装に金かけ過ぎでしょ!出番あれだけなのに!」と笑われ、
“キモかわいい”はずのティンカーベルを見た娘に、「お父さん、気持ち悪い」と避けられた。

彗では無理とも思えたラブコメディーが出来たことは、この年のメンバーのおかげであり、脚本のおかげである。
この作品でまた一つ、劇団としてのキャパシティーが増えたと自負している。




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