劇団『彗』第14回公演
いぬのおまわりさん

作・演出:澤田公宏

2011年3月12日、13日
北方町生涯学習センターきらりホール
「きたがた演劇フェスタ」参加




―覚えているだろうか? かつてこの公園に動物園があったことを―





【CAST】 【STAFF】
小塚 丹羽一高
安田 野原康寛 助演出 高橋利明
三石 金武智徳 伊藤貴晴
上司 澤田公宏 照明 吉田真子
カオリ 今田亜季(TEAM垣んちょ) 音響 小森悠人
女子高生 岩木英理子 上田裕貴
大橋真理絵 野原康寛
教祖 岸野友香 舞台美術 堤敏之
大橋 大橋裕幸/高橋利明 鶏小屋工房
衣装・小道具 岩木英理子
野原康寛
いとうゆい
鶏小屋工房
制作 丹羽一高
金武智徳
野原康寛


■STORY

90年代半ば
もうすぐ閉鎖となる岐阜公園内の動物園。
すでにほとんど動物たちはいなくなり、残すは1羽のペンギンのみとなった。

市役所の公園整備課に勤める小塚は、同棲中の彼女と結婚を意識し始めていた。
「そろそろちゃんと言わなきゃいけない」
しかし、上手く切り出せないもどかしさでイライラも募る。

プライベートだけじゃない。
仕事でも、最近頻繁に公園に捨てられていくペットに頭を抱えていた。
しかも上司からは、動物園閉園のセレモニーで「ペットを捨てないで」と言う内容の寸劇をしろと命令される。

動物好きでもないし、ましてや人前に出るのはもっと苦手。

こんな事がやりたくて公務員になった訳じゃない…。

そんな中、公園前で「迷子イヌ捜して下さい」と言うチラシを見つける。
面倒な事に巻き込まれるのはゴメンだと思っていたが…。

“やりたい事”と“やるべき事”の狭間で悩む彼が見つけた答えとは?


■COMMENT

久しぶりの作・演出作品となったこの頃の私にとって、「やらなければならない事とやりたい事の両立」とは、切実な問題だった。
会社へ行けば仕事は山積しており、家庭に帰れば夫であり父である。
そして劇団の仲間たちといる時間を大切にしていた。

社会に出れば誰でもがそうであるように、果たさねばならない役割があり、責任が科せられる。
それをやり甲斐と捉えられるのなら幸せなのだろうが、全てがそうでない事もしばしば。
「子供は親の背中を見て育つ」と、今も昔も変わらない格言めいた言葉をよく耳にしたのもこの時期。
小学生になった娘は悪い事も良い事も何でも真似をした。
言葉使いが荒い私の真似をする娘は、母親や祖母に良く叱られていた。
娘にとっては「お父さんが、言っていた。」と話すから、巡り巡って私が叱られる。
人の子の親として、やはりここにも責任がある訳だ。

「やりたい事だけやりたい時にやる」だけでは済まされないのは、ごく当たり前の事だと自覚していても、
「やらなければならない事」を最優先にしなければならないジレンマに苛(さいな)まれていた気持ちが、そのまま登場人物たちの台詞になっていた。

しかし、そこは「やりたい事ができる場所」である舞台。

“JOJO立ち”と“かぶりもの”が登場し、“動物”と“演劇”の話題で物語を作った。
ある意味、私の「やりたい事」が詰まった作品だったと言える。

登場シーンは短かったが、大橋役で登場した大橋さんは素のままで演じてもらった。
そして、同じ役を、彗では一度も役者として登場したことがなかったトッサに演じてもらった。
激レアとも言えるこのシーンでは、トッサ登場直後に驚きにも似た笑いが会場から起こったことが忘れられない。




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